2005年07月13日 (おススメの本)
糸井重里『海馬』
海馬―脳は疲れない
海馬―脳は疲れない
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池谷 裕二 糸井 重里
新潮社 (2005/06)
売り上げランキング: 140

脳を研究している若手で気鋭の学者 池谷裕二さんと糸井重里さんの対談集です。

池谷さんは、記憶をつかさどる「海馬」と呼ばれる脳の部位の研究者。大人になると脳が退化するというのが世間一般の常識ですが、この本ではそんな常識をことごとく覆していく面白さがあります。

帯にあるように、実は「もの忘れは老化のせいは間違いである」とか、「30歳を過ぎてからは頭は爆発的によくなる」と言われると、なんとなく勇気がわいてきます。

脳の神経細胞は生まれてから常に減少する一方だという常識があります。ところが、脳の中で情報の選別を担当している「海馬」の神経細胞は成人を超えても増えることが証明されているとか。例えば、ロンドンのタクシードライバーの調査では、ベテランドライバーほど海馬が大きい。つまり脳が発達していることが分かったそうです。

大人になると、経験をもとに「あるものとあるものとのあいだにつながりを感じる能力」が飛躍的に伸びてきます。それはクリエイティブのもとで、脳に刺激を与えてあげるように日ごろから心がけていくことが大切だということを実感させてくれます。例えば、「子供のような新鮮な視点で世界を見る」など、脳に刺激を与えるためのちょっとしたヒントやコツが随所にちりばめられています。

最新の脳研究の成果をもとに説明されているので、ものすごい説得力をもって迫ってきます。そこが単なる自己啓発書との違うところ。糸井さんがところどころ分かりやすく噛み砕いて説明している(「これはこういうことですよね?」とか)のもいい味を出しています。

帯情報 オトナになっても脳は育つ!

あなたの「海馬」を応援するコトバ集(本書より)
★もの忘れは老化のせいは間違いである。
★30歳を過ぎてから頭は爆発的によくなる。
★眠っている間に脳は情報を整理する。
★脳は使い尽くすことが出来る。
★頑固は頭を悪くする。

さらに勇気倍増!追加対談「海馬の旅」を収録。

池谷裕二[イケガヤユウジ]
1970(昭和45)年、静岡県藤枝市生れ。’98(平成10)年、東京大学大学院薬学系研究科で薬学博士号取得。2002年から約2年半のコロンビア大学生物学講座博士研究員を経て、東京大学薬学部助手

糸井重里[イトイシゲサト]
1948(昭和23)年、群馬県生れ。’75年TTC(東京コピーライターズクラブ)新人賞受賞。’80年代に「不思議、大好き」「おいしい生活」などの名コピーで一世を風靡。コピー制作、作詞、ゲーム制作、文筆など幅広い分野で活躍し、’98(平成10)年には「ほぼ日刊イトイ新聞」をインターネット上に開設した

<目次>
第1章 脳の導火線(生きることに慣れてはいけない;頭のいい人って、自分の好きな人のことかも? ほか)
第2章 海馬は増える(脳は「べき乗」で発展;科学者が海馬に惹かれる理由 ほか)
第3章 脳に効く薬(ものを忘れさせる薬;頭が良くなる薬は、あることはある ほか)
第4章 やりすぎが天才をつくる(一〇〇〇億の細胞からつながる相手を選ぶ;受け手が主導権を握る ほか)
追加対談 海馬の旅(誤解を招く=魅力がある;目的はひとつに決めない ほか)

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